桜通線の開通~現在の地下鉄路線網へ(1989年~)

地下鉄桜通線の開通と多様化するニーズへの対応(1989年 -平成元年-)

中村区役所・今池間の開通

桜通線は、飽和状態にあった東山線の混雑緩和を図るとともに、市南東部の需要に応え、既に開業している路線と連絡交差をすることにより輸送の効率化を図る路線網を形成するために、計画された路線です。その第1期工事区間である中村区役所・今池間(6.3km)は、世界デザイン博覧会開催期間中の平成元年9月10日に開通しました。
工事は、JR名古屋駅、東山線、名城線、地下街や共同溝など多くの施設の下を通過するため、細心の注意を払いながら進められました。また、開通にあわせて、名城線に久屋大通駅を新設。乗り換えの便を図ります。
さらに桜通線では、各駅に初めてエレベーターを設置しました。また、駅の総合化・複雑化、サインの埋没現象のなか、必要な駅案内を効果的に伝えるため、案内表示などのデザインにも気を配りました。

深夜のJR名古屋駅での工事

深夜のJR名古屋駅での工事

名城線久屋大通駅のホームと地下鉄車両

名城線久屋大通駅

中村区役所駅で行った発車式

中村区役所駅で行った発車式

デザインにも配慮した駅構内

デザインにも配慮した駅構内

全駅に初めて設置したエレベーター

全駅に初めて設置したエレベーター

時代のニーズへの対応

生活時間の変化などによるニーズの多様化に対応するために、市バスでは、平成2年12月、深夜バスを2系統(栄~藤が丘、栄~地下鉄高畑)新設しました。また、3年10月の市バスのダイヤ改正では、幹線系統の増加(6系統増加し全部で20系統)、昼間時間帯の運行回数の増回、終車時刻の繰り下げを行いました。
車両面でも、空気バネと大型窓の採用、車内案内表示装置の設置、優先席の増設と座席の改良などグレードアップしたものを導入しました。

栄バスターミナルで行った深夜バスの発車式

栄バスターミナルで行った深夜バスの発車式

平成3年10月のダイヤ改正にあわせて配布した時刻表

平成3年10月のダイヤ改正にあわせて配布した時刻表

地下鉄鶴舞線・桜通線の延長(1993年 -平成5年-)

上小田井・庄内緑地公園間の開通と名鉄との相互直通運転

平成5年8月12日に、鶴舞線上小田井・庄内緑地公園間(1.4km)が開通し、名鉄犬山線との相互直通運転を開始しました。
尾張北東部から名古屋市を縦断して三河部までが鉄道でつながり、名古屋都心部と周辺部をつなぐ交通の一大動脈が形成されました。また、犬山方面から名古屋駅を経由せず名古屋都心部へ向かうことができるようになったため、乗客が分散し、名古屋駅および東山線、桜通線の混雑も緩和されました。
新設された上小田井駅は、国道302号をまたぐ橋上高架駅という特殊な形態となり、慎重に工事が進められました。

庄内緑地公園駅で行った発車式

庄内緑地公園駅で行った発車式

上小田井駅で行った相互直通運転開始式

上小田井駅で行った相互直通運転開始式

今池・野並間の開通

平成6年3月30日に、桜通線今池・野並間(8.6km)が開通しました。今池駅から道路下を南下し、桜本町駅からは東へ進み野並駅に至る区間です。開通により、沿線の地下鉄利用者の利便性が向上しました。
また、今池駅から藤ヶ丘駅方面や、御器所駅から赤池駅方面の利用についても、混雑する栄駅や伏見駅で乗り換えることなく利用でき、所要時間の短縮につながるなど、東山線、名城線・名港線、鶴舞線と相まって、利用者のニーズに合わせた経路選択ができるようになりました。
施行にあたり、鶴里・野並間の天白川を横断する区間では、外径10.3mの複線大断面トンネルを、土圧式気泡シールド工法で採用しました。この工法により、一つのトンネルの中に2本の線路が走り、上下線の列車の間に壁や柱のない区間が540mも続いています。

野並駅で行った発車式

野並駅で行った発車式

大断面シールドマシン

大断面シールドマシン

地下鉄名城線の延長・上飯田線の開通(2000年 -平成12年-)

名城線大曽根・砂田橋間の開通

名城線大曽根・新瑞橋間の建設を予定する中で、平成9年3月に、沿線にナゴヤドーム(令和3年1月よりバンテリンドーム ナゴヤ)がオープンしたことから、12年1月19日に、大曽根・砂田橋間(1.7km)が先行して開通しました。
また、大曽根駅、ナゴヤドーム前矢田駅、砂田橋駅の各駅で、地下鉄と同時施工していた「ゆとりーとライン」が13年3月に開業しました。この区間の工事に合わせて、後に環状線を形成した時に必要となる施設として、ナゴヤドームの西側隣接地の地下に大幸車庫を開設しました。その大きさは、南北方向に長さが約570m、幅約40mの地下二層構造、総面積4万4千平方メートル。車両留置能力186両という全国最大規模の地下車庫です。

ナゴヤドーム前矢田駅で行った発車式

ナゴヤドーム前矢田駅で行った発車式

ナゴヤドーム付近の大幸車庫建設工事を空から見た様子

ナゴヤドーム付近の大幸車庫建設工事

COLUMN

交通局マスコットキャラクター「ハッチー」

「ハッチー」は、平成14年8月1日の市営交通事業80周年を契機に、お客さまに愛されるマスコットキャラクターとして登場しました。
また、「ハッチー」という愛称は、名古屋市の市章である丸八の「ハチ」と名古屋のシンボルである金のシャチホコの「シャチ」を組み合わせたもので、親しみと躍動感があふれ、明るいイメージという理由で、一般公募約7,300件の中から選ばれました。
「ハッチー」は、交通局主催のイベントは勿論のこと、各区で催される区民まつりなどにも登場します。イベント会場などで、ハッチーを見かけたら、是非、手を振ってみてくださいね。

  • 制服バージョンのハッチー

    制服バージョン

  • 作業着バージョンのハッチー

    作業着バージョン

  • サンタクロースバージョンのハッチー

    サンタクロースバージョン

上飯田線上飯田・平安通間の開通

上飯田連絡線は、名鉄小牧線と地下鉄名城線を接続し、犬山市、小牧市、春日井市や名古屋市北部などから名古屋都心への直結を図る路線です。
庄内川の北の名鉄小牧線味鋺(あじま)駅と平安通駅の間約3kmの区間を平安通駅で連絡させる上飯田連絡線は、名古屋市や愛知県などの自治体や、名古屋鉄道株式会社を始めとする民間16社の出資による第三セクターの上飯田連絡線株式会社(平成6年1月17日設立)により整備されることとなりました。交通局は、このうち上飯田・平安通間(0.8km)の工事を受託し、平成15年3月27日に上飯田線として営業を開始しました。また、同時に名鉄小牧線との相互直通運転を開始しました。
駅施設は、エレベーター、エスカレーターをはじめ、多機能トイレなどの設備を充実したほか、プラットホームの安全対策として、東海地方で初めて可動式ホーム柵を設置し、転落事故に対する安全対策を講じました。
上飯田線は、わずか0.8㎞と日本の公営地下鉄で最も短い路線です。しかし、名鉄小牧線との相互直通運転の実現によって、市北方面における利便性は大きく向上しました。
平成15年当初の運行は、上飯田以南を交通局が、上飯田以北を名古屋鉄道株式会社が運行していました。しかしながら、19年4月からは、運行効率の向上を図ってコストを縮減するため、名古屋鉄道株式会社が全線運転しています。

上飯田連絡線周辺の路線図

上飯田連絡線周辺の路線図

上飯田連絡線開通式

上飯田連絡線開通式

飾りをつけた上飯田線の記念列車

飾りをつけた記念列車

平安通駅のエレベーター

平安通駅のエレベーター

平安通駅の可動式ホーム柵

平安通駅の可動式ホーム柵

名城線砂田橋・名古屋大学間の開通

大曽根・砂田橋間の開通から約4年後の平成15年12月13日、砂田橋・名古屋大学間(4.5km)が開通しました。名古屋大学駅では、大学内に設置されている多くの精密機器に工事の影響が及ぶ恐れがあることから、大学側と共同で振動モニタリングシステムを構築し、大学内の精密機器に影響を与えるような振動を予測し、振動をともなう作業の実施にあたっては、施工時間帯を大学側と調整するなどの対策をとりました。

工事中の名古屋大学駅を地上から見た様子

工事中の名古屋大学駅

飾りをつけた名城線の記念列車

飾りをつけた記念列車

名城線環状運転の開始(2004年 -平成16年-)

全国初の地下鉄環状運転

平成16年10月6日、名古屋大学・新瑞橋間(5.6km)が開通しました。一周26.4kmの環状線を形成し、全国初の地下鉄の環状運転が実現しました。全28駅のうち8駅で他の地下鉄5路線と接続するほか、JR線、名鉄線、ゆとりーとラインとも接続し、放射状線路線と環状路線が組み合わさることで、公共交通機関の利便性は飛躍的に向上しました。(ちなみに、現在は一周約60分で運行しています。)
砂田橋・新瑞橋間では、多機能トイレの設置やエスカレーター音声案内、ホームの床の高さを従来より上げることで、車両の床とホームの床の段差解消を図るなど、駅のバリアフリー化に努めました。
また、開通に合わせて、愛称を環状運転する区間を「名城線」、金山・名古屋港間を「名港線」に変更しました。

総合リハビリセンター駅で行った発車式

総合リハビリセンター駅で行った発車式

全線開通の飾りをつけた名城線の記念列車

全線開通の飾りをつけた記念列車

真新しい嵩上げされたホーム

真新しい嵩上げされたホーム

名城線環状化によるバス路線の再編成

名城線の環状化にあわせ、バス路線の再編成を行いました。
その中で、区役所・支所や病院などの公共施設、大規模商業施設、地下鉄駅など、日常生活に密着した施設を巡回する「地域巡回系統」を新設しました。各区1系統(支所を有する区等は2系統)設定し、日中時間帯(9時台~16時台)における毎時1往復の運行を確保しています。また、一般路線に比べて短い間隔で停留所を設置しているほか、きめ細かい路線設定ができるよう小型バス(現在は中型バス)による運行を基本としています。
さらに、昭和56年に導入したバスロケーションシステムの対象を全系統に拡大するとともに、営業所とバスとの双方向通信を可能とする「バス運行総合情報システム」を整備しました。加えて、交通局ウェブサイトで「市バス接近情報」を発信し、利便性の向上につなげています。

地域巡回バス

地域巡回バス

現在の市バス接近情報

現在の市バス接近情報

地下鉄桜通線の延長・現在の路線網へ(2011年 -平成23年-)

野並・徳重間の開通

平成23年3月27日、野並・徳重間(4.2㎞)が開通しました。市南東部にあるこの区間の沿線は、大規模住宅団地が集まり、多くの土地区画整理事業が行われる人口増加が著しい地域でした。野並・徳重間の延長は、通勤・通学などの需要や、野並交差点付近の交通渋滞の緩和に応えるものでした。
鳴子北駅には、市バス野並営業所に併設してバスターミナルを整備したほか、徳重駅に併設して徳重車庫を整備しました。また、徳重駅への延長は、緑区役所徳重支所や徳重図書館(ユメリア徳重)、交通広場や大規模商業施設(ヒルズウォーク徳重ガーデンズ)などの整備と協調して進めたことから、沿線のまちづくりにも貢献しました。
この開通により、地下鉄の総延長は、現在の93.3kmとなりました。

徳重駅周辺図

徳重駅周辺図

徳重駅で行った発車式

徳重駅で行った発車式

真新しいトンネルを走る車両

真新しいトンネルを走る車両

桜通線の記念列車

記念列車

徳重交通広場

徳重交通広場

鳴子北バスターミナル

鳴子北バスターミナル