設備・車両ガイド

地下鉄の軌道保守

軌道保守作業は、地下鉄の輸送の安全や、乗り心地などの快適性を維持・向上するため、お客さまの目に直接触れることはありませんが、欠かすことのできない重要なものです。

砕石道床の突き固め作業

列車が走行するレールは、マクラギと砕石やコンクリート道床で支えられています。そのうち砕石道床は、列車が走行するとゆるんだり、下がったりすることがあります。右の写真は、タイタンパーという機械で砕石道床を突き固め、元の状態に戻す作業を行っている様子です。

タイタンパーを使った作業

線路巡視

軌道やトンネルなどの異常の有無を確認するため、営業時間中、列車の合間をぬって線路巡視を行います。右の写真は、線路巡視の様子です。

線路巡視

レール削正車

列車が走行するとレール表面には凹凸や、小さなキズができます。レール削正はこうした凹凸やキズなどを削り取ることにより、乗り心地を良くするとともに、レールの延命を図るために行う作業です。
右の写真は、レール削正車によるレール削正作業の様子です。

レール削正車

軌道検測車

右の写真は、軌道検測車による軌道狂い検査の様子です。軌道狂い検査では、営業終了後の深夜に軌道検測車を走行させて、列車の走行により生じた軌道のずれなどの状態を測定します。

軌道検測車

軌道検測車の車内

右の写真は、軌道検測車の車内の様子です。走行中は、パソコンの画面で軌道の状態を確認できます。

軌道検測車の車内

軌道施設に関する検査

軌道狂い検査

列車が走行すると、レールとこれを支えるマクラギや道床に繰り返し荷重がかかるため、軌道が少しずつずれていきます。これを「軌道狂い」といいますが、この狂いが大きくなると、列車の動揺が大きくなり乗り心地が悪くなるだけでなく、安全な運行が確保できなくなる可能性があります。このため、定期的に軌道狂い検査を行い、軌道狂いの状況を正確に把握し、基準値を超える箇所については補修作業を行うなど、常に良好な軌道の状態を維持できるよう整備を行っています。

列車動揺検査

列車に計測器を搭載し、乗り心地や危険な揺れがないかを確認するために行う検査です。揺れの大きい箇所については軌道狂い検査の結果により軌道状態を確認し、必要に応じ補修作業を行っています。

継目遊間検査

軌道は1本25mの長さのレールを、継目板でつなぎ合わせて敷設しています。こうしてできた継目のすきまの大きさを「遊間」といいます。レールは温度によって伸縮するので、遊間は広がったり縮んだりします。遊間が大きくなれば列車通過時の衝撃が大きくなり、遊間が小さくなればレールが横方向に張り出してしまうおそれがあります。このため、継目遊間検査を行い、遊間の大きさが適切に保たれているかどうかを確認しています。
なお、溶接によりレールをつなぎ合わせ、継目のない軌道とすることにより、乗り心地を向上させることができるため、レールを交換する際には、できるかぎり溶接によりレールをつなぎ合わせるようにし、継目をなくすようにしています。

分岐器検査

分岐器は列車の進路を変えるための装置で、多くの部品で構成され、構造も複雑であるため、列車の走行による衝撃で損傷することがあります。また、可動する部分があるため、整備を怠ると動作不良を起こし、列車運行に支障をきたす可能性もあります。このため、分岐器については、軌道狂い検査に加え、分岐器を構成する部品の状況についても十分な検査を行い異常の有無を確認しています。右の写真は、分岐器軌道狂い検査の様子です。

分岐器検査

右の写真は、シーサースクロッシングという、両渡りの分岐器です。

シーサースクロッシング(車庫にある分岐器)

レール等の軌道材料検査

軌道は、レールをはじめとしてマクラギや、レールをマクラギと締結する装置、道床などの様々な材料で構成されています。列車走行時の荷重や衝撃で、こうした材料そのものが摩耗したり破損したりすることがあります。このため、軌道材料の状況を正確に把握するため、定期的に軌道材料検査を行っています。

土木構造物などに関する検査

建築限界検査

建築限界とは、列車が安全に運行するために確保する、いかなる施設も設置できない空間をいいます。建築限界検査では、十分な空間が保たれていることを確認しています。

トンネル検査

地下鉄の大部分は地下のトンネル構造物となっています。トンネル検査により、トンネル内の漏水の有無や損傷状況などを把握し、必要に応じて補修をするなど、安全運行に支障をきたさないよう管理しています。

橋りょう検査

右の写真は、高架を走る地下鉄の様子です。東山線と鶴舞線の一部に高架部があります。橋りょう検査により、高架構造物の異常の有無などの状況を把握しています。

その他の検査

その他各種検査を実施しています。

これまでに紹介した検査以外にも、さまざまな検査を行っています。種々の検査結果から軌道やトンネルなどの状況を正確に把握し、基準と照らし合わせ必要な箇所については補修を行うなど、輸送の安全確保のため昼夜を問わず保守業務を行っています。
今後も引き続き、安心して地下鉄をご利用いただけるよう保守業務に取り組んでまいります。

軌道事務所の組織概要

組織表

業務内容

  軌  道

技術係

軌道指令

・線路施設及び構造物の災害・障害の総括管理

事務所

 

 

・大型保守用機械運行・近接工事の総括管理

 

 

検査区

・各種検査業務の統括管理

 

 

 

・所の資材備品等の統括管理

 

 

 

・各種統計業務

 

 

 

・所職員の人事、安全管理に関すること

 

工事係

工事区

・線路及び構築物の改修工事の計画、施工

 

保  線

藤が丘

・東山線 池下~藤が丘の軌道施設

 

第一係

保線区

 及び構築物の保守

 

 

高  畑

・東山線 高畑~池下の軌道施設

 

 

保線区

 及び構築物の保守

 

保  線

大  幸

・名城線 名古屋城~本山~新瑞橋の軌道施設

 

第二係

保線区

 及び構築物の保守

 

 

 

・上飯田線 上飯田~平安通の軌道施設

 

 

 

 及び構築物の保守

 

 

名  港

・名城線 名古屋城~金山~新瑞橋の軌道施設

 

 

保線区

 及び構築物の保守

 

 

 

・名港線 金山~名古屋港の軌道施設

 

 

 

 及び構築物の保守

 

保  線

浄  心

・鶴舞線 上小田井~御器所の軌道施設

 

第三係

保線区

 及び構築物の保守

 

 

日  進

・鶴舞線 御器所~赤池の軌道施設

 

 

保線区

 及び構築物の保守

 

保  線

大久手

・桜通線 太閤通~徳重の軌道施設

 

第四係

保線区

 及び構築物の保守