設備・車両ガイド

電車線設備

電車は、電気モータを回転させて走行するため大電力を必要とします。この電気は変電所から供給され、走行中も絶えず電気を受けなければなりませんので、電車の集電装置と接触しながら給電させるための特殊な電線が、線路に沿って敷設してあります。この接触電線を電車線と呼び、それに付帯する設備を総称して電車線設備と呼んでいます。
画像は桜通線の6000形車両

画像は桜通線の6000形車両

き電線路

地下鉄の変電所からサードレールや架空電車線等の電車線に電気を送るための電線を、き電線といいます。き電線には、数千アンペアという非常に大きな電流が流れますので、十分に太い電線を使用しています。
右の画像は、とう道と呼ばれる専用のトンネルを通って本線の電車線に接続する、き電線が敷設されている様子です。
画像はとう道内に敷設されたき電線

画像はとう道内に敷設されたき電線

電車線路

き電線から受けた電気を、電車の集電装置に接触させて供給するための裸電線を電車線といいます。
電車線は、色々な方式がありますが、名古屋市の地下鉄ではサードレール式と架空式を採用しています。更に架空式には、カテナリ電車線と剛体電車線があり、地上部とトンネル部で使い分けています。
画像はレールの脇に設置されたサードレール(藤が丘車庫)

画像はレールの脇に設置されたサードレール(藤が丘車庫)

線 別

地上部(車庫)

トンネル部

電車線電圧

東山線

サードレール

サードレール

直流 600V

名城線・名港線

サードレール

サードレール

直流 600V

鶴舞線

カテナリ電車線

剛体電車線

直流 1500V

桜通線

-

剛体電車線

直流 1500V

上飯田線

-

剛体電車線

直流 1500V

(1)サードレール式

東山線と名城線・名港線で採用している電車線です。
走行レールの脇にサードレール(3本目のレールの意味)と呼ばれる給電用のレールを設け、電車の集電靴と呼ばれる部分に接触させて電気を供給します。この方式は、サードレールの設置位置が低く感電の危険があるため電圧を高く出来ないという制約がありますが、架空線式に比べてトンネルの高さを低くでき、建設費が安くあがることから世界中の地下鉄で広く採用されています。
画像はサードレールから電気を受ける集電靴

サードレールから電気を受ける集電靴

(2)架空式

鶴舞線、桜通線、上飯田線で採用している電車線です。
走行レールの上空にトロリ線を架設し、電車の屋根上に取付けられたパンタグラフが接触することで電気を供給します。この方式は、トンネルの天井が高くなるため、あまり地下鉄に採用されることはありませんでしたが、地下鉄と郊外電車との相互乗り入れが行われるようになり、よく見かけるようになりました。鶴舞線は名鉄豊田線、犬山線。上飯田線は名鉄小牧線との相互直通運転のため、桜通線は車両検査時に鶴舞線を回送運転するため架空式を採用しています。
画像はパンタグラフ(鶴舞線)

画像はパンタグラフ(鶴舞線)

架空式は、その構造によりカテナリ電車線や剛体電車線等がありますが、地下鉄では地上部は前者を、トンネル内は後者を使用しています。
画像は日進車庫のカテナリ電車線

画像は日進車庫のカテナリ電車線

画像は桜通線の剛体電車線

画像は桜通線の剛体電車線

帰線路

電車で使用された電気を、変電所に返すための電線や走行レールなどを総称して帰線路と呼んでいます。走行レールは、電車の車輪を介して電車で使われた電気を受取り、変電所へ返す電線の役割もあわせ持っています。