設備・車両ガイド

通信設備

地下鉄の車両、駅及び各施設間には、輸送の安全や効率運転のために欠かすことのできない各種の通信設備が設備されています。鉄道では、電話や無線設備以外にも放送、案内表示、時計などの情報サービス機器や監視テレビ装置などが設備されており、これらを通信設備と位置付けています。
最近では、急速な技術進歩とニーズの変化に伴い、次々と新しい機器が開発されています。名古屋の地下鉄でも、光ファイバーによる高速デジタル通信網の構築、全線に旅客案内表示装置を設備するなど、通信設備の近代化を進めています。

電話装置

鉄道では、駅や関連施設間の事務連絡ばかりでなく、鉄道の運行に直接かかわる通話、事故や災害発生時などにおける緊急連絡用として各種の電話装置が設備されています。
光ファイバーによるデジタル通信伝送による交換機から、昔ながらの磁石式電話機を使用した直通電話も使用しています。
最近では、コードレス電話機を交換機の更新に併せて導入しています。

業務電話

地下鉄の管理、運転、営業及び保守などの各種業務連絡に使用されるもので、全施設間を名古屋市交通局専用の回線で結んでいます。
機械接点を使用した古いタイプの交換機は既に姿を消しましたがダイヤル式電話機は、まだ現役で活躍中です。

  • ダイヤル式電話機

    ダイヤル式電話機
  • 押しボタン式電話機

    押しボタン式電話機
  • コードレス電話機

    コードレス電話機

運転指令電話

運転指令室(親機)と各駅等(子機)の間に設備され、直接運転に関する指令や情報の伝達に使用されます。子機はスピーカ内蔵でダイヤルが無く、呼び出しは音声で受け、駅からは受話器をあげるだけで直接運転指令室につながります。

  • 運転指令室

    運転指令室
  • スピーカー内蔵子機(ダイヤル無し)

    スピーカー内蔵子機(ダイヤル無し)

転てつ指令電話

現場転てつ機の故障時や点検時に、信号取り扱い所との連絡に使用されます。
最近では、コードレス電話機の使用も増えてきています。

  • コードレス電話機

    コードレス電話機
  • 電話機タイプの子機

    電話機タイプの子機

非常電話

列車の無線機が故障した場合や事故などの緊急時に、トンネル内から運転指令室に連絡するための設備です。トンネル内に設備された裸電線に引っ掛けて使用するもの、トンネル内各所に設置されたコネクタに受話器を接続するもの、そして、最近では、コードレス電話機によるものがあります。
左の写真は、名城線のトンネル内で非常電話機を使って通話中の係員の様子です。
右の写真は、折りたたまれた非常電話機です。伸ばすと1メートル以上になります。

  • 非常電話通話中の係員

    非常電話通話中の係員
  • 携帯型非常電話機

    携帯型非常電話機

直通電話

運転指令室と電気指令室間、総合駅の各電鉄会社相互間などの緊急連絡用に使用される直通電話と駅と近隣ビル間に設置され、火災などの緊急連絡用に使用されるホットラインと呼ばれる直通電話があります。 左の写真は、駅と各隣接ビル間に設備されたホットライン電話機群です。

  • ホットライン電話機群

    ホットライン電話機群
  • ホットラインイメージ図

    ホットラインイメージ図

構内電話

駅構内の各所に設置され、駅員の業務連絡やホーム上のお客様からの緊急連絡用に使用されます。
右の写真は、桜通線のホームに設置された緊急電話機です。これも、構内電話の1つで、受話器を上げるだけで駅長室につながります。

  • 構内電話構成図

    構内電話構成図
  • ホームの緊急電話機

    ホームの緊急電話機

作業電話

主に、停電及び災害時などにより各種電話機が使用できない時に使用する電話機で、据置型と携帯型があります。この電話機は磁石式と呼ばれるものを使用し、手回し発電機によって相手を呼び出します。 携帯型は、作業現場で臨時に使用するもので、ショルダーケースに入っています。

  • 携帯型作業電話機で話す係員

    携帯型作業電話機で話す係員
  • 据置型の作業電話機

    据置型の作業電話機

列車無線装置

地下鉄の全列車には無線装置が設置されており、運転指令室と列車間で無線通信を行うことができます。地上側に設けられた設備を基地局装置、車両に設けられた設備を移動局装置と呼んでいます。
電波は直進する性質があるため、曲がりくねったトンネルで通信することが出来ません。このため、誘導無線という特殊な方法を用い、アンテナの代わりに誘導線という電線をトンネル内に張り、列車との間で通信が出来るように工夫しています。
非常の場合には、電車から無線で非常発報信号を送信することにより、変電所からの電気を止めることもできます。

基地局装置

基地局は、各線当たり数基が設置され、無線通信と有線通信を相互に変換する装置で、無線の送信機と受信機で構成されています。

  • 基地局送受信機

    基地局送受信機

移動局装置

電車の乗務員室に移動局送受信機が設置されています。乗務員と運転指令室間で通信することができます。

  • 通話中の乗務員

    通話中の乗務員
  • 移動局送受信機

    移動局送受信機

誘導線と車上アンテナ

電磁誘導という方式で、誘導線と車上アンテナとを電気的に結合しています。

  • トンネル壁面に張られた誘導線

    トンネル壁面に張られた誘導線
  • 誘導線拡大写真

    誘導線拡大写真
  • 車上アンテナ(東山線)

    車上アンテナ(東山線)
  • 車上アンテナ(鶴舞線)

    車上アンテナ(鶴舞線)

放送装置

地下鉄では、全駅に放送設備が設けられており、旅客案内放送、火災発生時等の非常放送を行います。
旅客案内放送は、列車の位置を追跡し、自動的に音声が合成されて放送が行われています。また、駅ホームにはマイクやワイヤレスマイクも設備されていますので、駅員による放送も可能です。

拡声装置

拡声装置は各駅に設備されており、ホームマイク、案内制御装置及びワイヤレスマイクからの音声を増幅して、駅のスピーカより音声出力します。
火災等の非常時には、地下街とも連動した非常放送を行います。また、装置内に非常用のバッテリーを備えているため、停電時でも避難誘導放送を行うことができます。

  • 拡声装置

    拡声装置

旅客案内装置

旅客案内装置は、お客様へのサービス向上とバリアフリー整備の一環で導入されました。
この装置は、全線の運行を追跡して、運転ダイヤなどの条件を加味して接近案内、到着案内、出発案内などを自動的に行う案内放送と電車の発車時刻、行先、接近、到着、ニュースなどを表示する案内表示装置があります。
案内表示装置は、駅員の操作で、臨時に各種の案内を流すことも可能です。
各種運行情報を信号変換装置で受信し、デジタル通信伝送を経由して各駅の案内制御装置へ配信されます。
その条件を利用して接近案内、到着案内、出発案内などを自動的に行います。
音声データは、下図のように文節単位でメモリーされていますので、必要な文章を組み立てて放送します。

  • 信号変換装置

    信号変換装置
  • 案内制御装置

    案内制御装置
  • 案内表示装置

    案内表示装置
  • 音声データの文章組み立てイメージ

    音声データの文章組み立てイメージ

時計装置

鉄道の運行は、ダイヤ表にもとづいて行われているため、正確な時刻をお客様や職員に表示しなくてはなりません。地下鉄では、親時計を設置し、駅構内等に正確な時刻表示を行っています。

親時計装置

親時計は、水晶発振器と呼ばれる極めて安定した方法で信号を作り、更にFM放送局の時報又はGPSの時刻信号を利用して自動的に時間が校正されています。
このようにして作られた時刻信号は、トンネル内に敷設された通信回線で各駅に送られ、駅の改札口やホームに設置された子時計を駆動します。

  • 親時計装置

    親時計装置

子時計

親時計装置から送られてくる正確なパルスで動作しています。昔ながらのアナログ式丸時計から液晶式デジタル時計など色々なものがあります。

  • アナログ式丸時計

    アナログ式丸時計
  • ホームの液晶式デジタル時計

    ホームの液晶式デジタル時計
  • ホームのアナログ式時計

    ホームのアナログ式時計

構内監視装置

地下鉄の駅では、いたるところにカメラを設置して、安全確認や防犯の目的で監視を行っています。
駅構内ではエレベータ、改札口、券売機及び通路等の監視、ホームでは車掌の電車発車時の安全確認、そして東山線、桜通線、上飯田線ではワンマン運転をしており、カメラの映像をホームの先頭付近に設置しているホームモニタ架、車内モニタ、運転指令室に伝送して安全確認をしています。

列車監視用モニタ(車掌用)

曲線状のホームなどで、車掌の位置から前方の見通しがきかない場合、モニタで乗降状況を確認して列車の扉を安全に開閉するために使用されます。

  • ホームモニタで確認する車掌

    ホームモニタで確認する車掌

列車監視用モニタ(ワンマン運転用)

ワンマン運転を行っている東山線、桜通線、上飯田線では、運転士が乗降状況監視及び駅出発時のホーム監視を行います。
このため、東山線及び桜通線ではホームの先頭付近(運転士が映像確認できる位置)にホームモニタ架を設置し、ホーム柵及び列車の扉の開閉状況を映像にて監視を行います。
なお、上飯田線は車内モニタで監視をしています。
さらに、この画像は運転指令室にも送られ、二重の安全確認が行われています。

  • ホーム監視用カメラ

    ホーム監視用カメラ
  • ホームモニタ架

    ホームモニタ架

構内監視用モニタ

エレベータ、券売機、自動改札機付近や人通りの少ない通路等にカメラを設置し、機器の監視や防犯用として使用されます。
モニタは駅務室に設置され、すべてのカメラの画像を集中して監視できるようになっています。

  • 駅長室に設置されたモニタ装置

    駅長室に設置されたモニタ装置

通信線路

地下鉄では、電話回線、時刻情報、各種データ及び遠隔制御等、様々な電気信号を離れた場所に送っており、地下鉄のトンネル内には、高圧電気を運ぶ電線の他に、多種の通信ケーブルも敷設されています。

ケーブルは、トンネル内では側壁に設けられた電らん棚と呼ばれるラック上に、また地上部においてはトラフと呼ばれるコンクリート製の溝に敷設されています。